介護とは高齢者のサポートをするだけではなく、もっと大きな意義と役割があります。その中の重要な項目として「高齢者の尊厳を守る」ことがあります。当サイトは尊厳を大切にする介護について紹介しています。
美しいデザインのモノが年を重ねた高齢者にとって本当に使い勝手が良いのかを疑問に感じた工業デザイナーのパットムーアは、26歳の頃に3年間老人に変装をして調査を開始しました。その経験を通して得たことは、高齢者として生きることは社会から無視されるような感覚だったと言います。仕事を引退して趣味などを通して仲間と楽しく過ごしている人もたくさんいますが、パットムーアの調査から現代社会には年齢差別が確実に存在しています。こうして社会とのつながりが希薄になり、承認欲求が満たされないことが「怒る高齢者」の多い原因として考えられています。
配偶者や子供達に囲まれて充実した生活をしている高齢者もいますが、配偶者に先立たれてしまったり、子供や孫との関わりが疎遠になってきて環境が変化すると、当然ひとりの時間が増えていきます。特にこれといった趣味もなければ朝から晩まで人と話すこともなく、起きて、テレビを見て、眠るといった心身の健康には良くない生活へと変化してしまうのも仕方ありません。
こうして社会から疎外されていることを肌で感じるようになると、イライラすることが増えていき、いてもいなくても同じだと言われている感覚になります。さらに、長年付き合ってきた友人の訃報などを聞いたりすると孤独感はより高まってしまいます。
孤独でいることが長くなるにつれて、介護が必要な状態になるリスクが高まります。そしていつか介護を必要とする時が来た際に、初めて介護のプロとつながりができます。介護のプロは尊厳を守るための訓練をしているので、高齢者に人間関係を提供できる唯一の人物となることも多いです。高齢者の尊厳を守ることができる介護のプロとなれるよう、尊厳を守るためのケアを学べる本を紹介しておきます。
人とのつながりから人間の尊厳を感じられることは多くあります。逆に、人とのつながりが希薄になってしまうことで尊厳が失われてしまうことも多くあります。そのため、孤独になりやすい高齢者の尊厳を守ることはとても難しいものです。社会で孤独を感じさせないため、ごく普通に社会の中に居場所がある状態を作ることも高齢者福祉の仕事といえます。
高齢者の尊厳を守るためには組織的に動いていく必要があるので、職場全体が努力していなければ達成は難しいです。理念を共有できている職場で働き、尊厳を守る介護を行うためにぜひ知っておいて欲しいことがあります。