介護とは高齢者のサポートをするだけではなく、もっと大きな意義と役割があります。その中の重要な項目として「高齢者の尊厳を守る」ことがあります。当サイトは尊厳を大切にする介護について紹介しています。
高齢者の尊厳を守る方法として注目されている「ユマニチュード」と呼ばれる技法があります。ユマニチュードは多くの介護現場で取り入れられている技法ですが、非常に複雑ですので習得には一定の期間を要します。しかし、考え方はとてもシンプルで「あなたが大切」という気持ちを相手に受け取ってもらうことです。利用者さんが「大切にされている」という気持ちを持つことにより尊厳が守られます。
介護職の思いを利用者さんに伝えやすくなるので意思疎通がスムーズになり、安心した生活を提供することができます。特に認知症高齢者の場合は、大切にされているという気持ちによって症状が安定したりそのまま治まったりすることもあります。
具体的にユマニチュードで使う技術についてですが、基本は「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つが中心です。「見る」「話す」技術は相手と目線を合わせて話し、「触れる」技術は身体に触れながら関わり、「立つ」技術では立つことを意識してもらい生きていることを実感してもらいます。
それぞれ1つ1つに多くの技術が組み合わさっているので、習得は簡単ではありません。「触れる」技術のひとつに、腕を持って支える際に必ず下から包み込むように持つことがあります。そして、立つことは寝たきり状態の利用者さんの空間を広げてくれます。寝たきり状態では横と上しか空間がありませんが、立つことにより下と前後の空間を認識してもらうことで空間認知力が高まります。この空間認知によって脳に刺激が伝わり、認知症をやわらげてくれます。
要介護者に限りませんが、いくら大切にしている気持ちがあっても行動に出なければなかなか伝わりません。ユマニチュードでは大切にしていることを伝えなければいけませんので、気持ちを表現するために行動に移して伝えます。大切にしていることを行動に移すことは難しいことではありませんので、新人にとっては行動指針として役立つこともあります。そのため、ユマニチュードはマニュアルのような役割を果たしてくれるという点でも注目されています。
ユマニチュードを習得するためにはインプットとアウトプットを繰り返しながら学んでいく必要があります。簡単に説明することはできても、簡単に教えることはできないので、自ら積極的に学ぶ姿勢を持たなければいけません。もっとユマニチュードについて知り、これから習得していきたいと考えている人は、こちらの「ユマニチュード入門」がおすすめです。
高齢者の尊厳を守るためには組織的に動いていく必要があるので、職場全体が努力していなければ達成は難しいです。理念を共有できている職場で働き、尊厳を守る介護を行うためにぜひ知っておいて欲しいことがあります。