介護とは高齢者のサポートをするだけではなく、もっと大きな意義と役割があります。その中の重要な項目として「高齢者の尊厳を守る」ことがあります。当サイトは尊厳を大切にする介護について紹介しています。
個人の尊厳を守るためには、自己評価と自己決定を積極的に尊重することが必要です。身体や精神だけではなく、その人の性格や社会的立場などを含めて関わります。介護の仕事を行うにあたり、高齢者の尊厳は特に意識しなければならないので、サービスや支援はその人をよく理解して提供することが重要です。日常生活をサポートするだけでは尊厳は守ることができませんので、その人らしい生活をその人の意思で行えるようなケアでなければなりません。
この尊厳を守るケアを行うためには、利用者さんのことをよく理解することが必要不可欠になります。利用者さんの話を傾聴して、すべてを受け入れて共感することが求められますが、聞くだけ反応するだけでは理解には遠く及びません。利用者さんの本当に求めていることをよく考えながら話を聞き、理解しようと努める姿勢が大切です。
相手を理解するためには、まずは相手の話をそのまま受け取ることが重要です。話の上手な人とそうではない人がいるように、すべての利用者さんが聞き手に対して不安や悩みをわかりやすく語れるわけではありません。わかりやすく語れる人のほうが少ないです。そこで聞き手が話し手に歩み寄り、自分の思い込みで話が進んでいないかをその都度確認していく必要があります。
例えば、「楽しい時間」を過ごしたいと言っていても、大人数でワイワイしている時間なのか、それとも趣味の絵をゆっくり描きたい時間のことなのかはまだわかりません。自分の思い込みで「楽しい時間」を決めるのではなく、相手の伝えようとしていることがわかるまで話を聞きましょう。
理解に努める姿勢だけでは利用者さんの尊厳を守るには実は不十分で、双方の考えの違いが最小になるように働きかけることも大切です。この取り組みを行わなければ、一方的に相手が話したことに対して納得しているだけなので、自分がどのような捉え方をしたのかを伝え、確かめる作業を繰り返し行っていく必要があります。この繰り返しによって、自分が話した内容と利用者さんの話の内容をすり合わせていき、双方の考えが同じになったと感じることができます。
この繰り返しの作業で初めて、尊厳を守るためのコミュニケーションが生まれ、相手を尊重した傾聴と受け入れと共感を得ることができます。このコミュニケーションによって相手の考えに寄り添うことができるので、尊厳を守りながらサービスや支援を提供できる状態になります。個人の尊厳を守るための基本は、思い込みを捨てて相手のことを理解しようとする姿勢と働きかけの2つです。
高齢者の尊厳を守るためには組織的に動いていく必要があるので、職場全体が努力していなければ達成は難しいです。理念を共有できている職場で働き、尊厳を守る介護を行うためにぜひ知っておいて欲しいことがあります。